

2008.09.22
今回は今治で開業をされている片木脳神経外科院長、片木良典氏に
画像診断装置の実際の術中活用やその可能性についてお聞きするとともに,患者様やご家族に対して院内の検査環境や
アメニティがどうあるべきかについて話を伺いました。
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| 片木脳神経外科 院長 片木良典氏 |
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まずは、現在の脳神経外科における画像診断の現状についてお聞かせください。
脳神経外科の場合脳腫瘍の他、脳卒中や外傷等で、意識障害の患者さんが多く、病態把握のための診断として、また手術のための詳細な術前診断を行うためにも画像診断が大変重要になります。
これには、CT、MRIの「進歩」というものが大前提にあります。
CT,MRI等診断機器の「進歩」によって、それまで考えられなかった様な「サブミリ」という1ミリ以下での、鮮明な術前画像が得られる様になってきました。
現在は、他の様々な診療科でも画像診断を重要視していると思いますが、速く、適切な処置を行なうための画像診断、特にCT画像を治療のエビデンスとして用いたのは脳神経外科が最初だと思います。
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片木脳神経外科エントランス |
片木脳神経外科概観 |
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診断機器の進歩により術前画像が良くなりましたので、我々脳神経外科としては、この画像を、如何に手術中においても有効に使っていくか、と言う事を考える様になりました。
術者が術前画像を手術中に随時確認する事で、解剖学的把握が更に充実し、手術の安全性も高まると同時に、治療も更に高度化します。
また、術前画像を術中に如何に利用するかを考える経過の中で、手術中に画像の追加撮影を行い、術前画像と併せる事で、より一層正確な治療が可能になるとの考えに至り、手術中に画像撮影が行なえる「術中画像支援手術室」の実現を志向する様になりました。
一口に画像といっても、診断段階のものと術者が必要とする手術段階のものとでは、求める撮影部位が非常に異なる場合もあります。
従って、「術中画像支援手術室」には、まず種々の方向からの術前画像を立体視で手術中に簡単に見られる事、そして術者が手術中に求める部位画像を短時間で追加撮影できる事の2つの機能が求められます。
これによって、手術中に、「現在見えている腫瘍や動脈瘤の奥に何がどのようにあるか?」などの疑問に容易に応えることができる、これが術中支援手術室の目的です。
もう一つ、手術中に血管撮影を行う事。これはよくある事ですが、新しい3D−DSAを導入した事によって、動脈瘤の血管内手術は勿論のことクリップの時も動脈瘤の奥にある細い穿通枝も含む他の血管を確認し、術中にこれを避けながら安全に手術を進める事ができる手術室も併せて作ることが出来ました。
これらの事は、現在のところ通常よく行なわれている事ではありませんが、術中の安全性を高め、手術そのものの危険を少なくすると同時に、ほぼリアルタイムに撮影される所見より術中の解剖学的な理解もさらに深まり、これまでの脳神経外科とは違った世界が広がってくるものと考えております。
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| 術中画像支援手術室 |
我々外科医は、教育そのものが非常に閉鎖された環境下で行なわれてきましたので、医学以外の分野との接点はないに等しいのが実体です。
しかしながら、例えば、CTの誕生は手術の方法を変えましたし、MRIは予防や異常は勿論、正常の解剖学の理解が深まるといったように幅広い領域に変化をもたらしました。
CTもMRIも、医学者が生み出した機器ではありませんが、医療を大きく変えたのです。
はい。こういう視点で、医学以外の人々の知識技術の助けが加わることによって、豊かな判断力が培われ、より良い医療が生まれると思います。
すなわち、医工連携とは、医学以外から生まれた技術成果をも極限に取り入れて、更に医療のレベルを上げる事が目的であると考えます。
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小さな患者様も安心のシースルーMRI室 |
導線を考慮した操作室 |
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一般に、医療は、教育的見地に基づく「施す医療」と、産業的見地に基づく患者サービスとしての「選択させる医療」という様に大別できると思いますが、私はもう一つあると考えます。
それは、病魔に対して、患者さん自身、ご家族、そして医療スタッフが 戦友として「共に戦う医療」です。特に病状が重篤な場合は、その範疇となることが多いようです。
従って、医療空間のアメニティ、という考え方もその「医療」の考え方毎に異なると思います。
脳神経外科の場合、それまでなんでもなかった人が、突然、意識のない状態となるケースが多く、患者さんご自身とご家族に厳しい状況が生まれます。
そんな時、例えば患者さんがお子さんであれば「頑張れ、お父さんもお母さんもそこで見守っているよ!」といえる様な空間が求められるし、我々も提供したいと考えます。
ただきれいなだけではなく、「戦友」がお互いを確認し合える環境こそが、医療空間に望まれるアメニティであると考えています。
我々が考え、培ってきたものを、今後は、若い優秀な方々に伝えて行きたいと思います。術中画像支援手術室にしても、もっと良い使い方、ここをこうすればもっと良い結果が得られるといった事を考えて、更に改良して欲しいと思います。
脳神経外科は生死を扱う事の多い診療科であり、一つ間違えば危険の多い領域として、若い医師にあまり好まれない傾向があります。
そこで、どちらかというと、これまで外科医の腕が偏重されると思われがちだった脳神経外科に、最先端の診断機器や医療環境を積極的に採り入れていく事によって、医療の安全性が高まり、若い医師が参加しやすい診療科として発展させて行く事が、私の夢でもあり願いでもあります。
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インタビュー日:2008年7月21日
場 所:片木脳神経外科
インタビュアー:円城寺佳子
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